コンクールの審査
先日、ジュニアピアノコンクールの審査をしてきました。現在、溢れるほどの「こどものためのピアノコンクール」が存在し、地元密着型のものから、全国規模ものまでたくさんあります。
今回のコンクールは、名前は知っており全国規模ではあるものの、指導者として企業の音楽教室に所属したことのない私にとっては、初めて聴講するものでした。私が担当した審査は、コンクール一次予選への出場者を決めるための予選会でしたが、二日間、幼稚園児なのかな?と思われる小さなお子さんから中学生まで、部門ごとに一生懸命な演奏が繰り広げられ、私自身も普段は指導する立場なので、保護者や指導されている先生方のドキドキが聞こえてくるようで、演奏を楽しみながらも緊張してしまいました。素敵な演奏にもたくさん出会えました!その中でも、一次予選に推薦された演奏は、やはり、キラリと輝くものがありますね☆この先も是非とも頑張っていただきたいです♪
ピアノという楽器は、子供サイズが存在するヴァイオリンなどと違い、どんなに身体の小さな子でも、大柄な大人と同じサイズの楽器を演奏しなければなりません。如何にして楽器を鳴らすのか、身体の使い方をはじめ、しっかりとした基礎の習得が大切だなと感じました。これは、つまり、指導者の力量ですよね。こどもたちは、どんどん成長していきます。成長に伴って、使える筋肉も変わってきます。また、日本人と欧米人では日常生活でも(例えばナイフの使い方ひとつをとっても)違うように、筋肉の使い方、つき方が違います。指導する立場が、それぞれの年齢に合った、筋肉のつき方に合った身体の使い方を指導していけるように、日々勉強しなければならないと考えさせられました。
また、ピアノは、一歩間違えれば呼吸をしなくても弾けてしまう楽器なので、「ピアノで歌う」ということが難しいのだなと、改めて感じました。(実際に、クラシック大好きだけれども全く弾けない、長年応援してくださる方に、ピアノで歌うって何⁉と質問を受けたことがあります。)
楽譜上に書き込まれている部分的な速度の変化を表す速度標語が、機械的になってしまう演奏を耳にしました。例えば一口に「ラレンタンド(だんだん遅くする、緩める、の意)」と言っても、曲の設定テンポや、どんな曲調なのか…などによって、その匙加減が変わってくると思うのですが…自分自身で歌えていないのでしょう。「言われたから、書いてあるから何となくそうやってみました」という感じの演奏が多く、少しびっくりしました。これは、今日明日で身につくものではないです。良い音楽をたくさん聴き耳から学んだり、実際にメロディーを声に出して歌ってみたり…そうやって養われていくものです。
ドイツ時代の恩師には「オペラを観て、声楽曲を聴いて!」と常に図書館のオーディオ施設や、街の歌劇場でのオペラ公演に足を運ぶことを勧められました。また、先生主催のホームパーティーでお宅に伺うと必ず、先生お勧めのDVDやCD鑑賞が始まり、門下生一同飲み物を片手に(笑)、ピアニストの演奏はもちろん、オペラや歌曲を沢山聴きく機会を与えてくれました。また、歌の伴奏も大変に勧められました。「意味のある言葉を歌っている歌手は、単語の途中や、文章の変な場所で息継ぎはしないし、言葉のニュアンスに合わせて音楽を構成している」ということです。
私のレッスンでは、音数の少ない導入期から、歌うことを大切に指導しています。音楽的な面での自然な呼吸も身についていきます。今は、特にマスクをしての生活で、呼吸も苦しくなり難しいことですが、コツコツとした積み重ねが実を結びます。指導者として、今、この瞬間だけでなく、長い目で見て、自然な素敵な演奏ができるように導けるよう、常に指導方法を研究し、良いアイディアに出会ったときには取り入れていかなければいけないと、私自身がとても勉強になった審査でした。
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