学ぶ環境

 昨日3月11日は、東日本大震災から10年の日でした。10年前のあの日、私は、帰国してほぼ丸1年で、福岡の実家にいました。教えに行っていた大学は春休み、お茶でもしましょうかと、母とリビングのソファーに座り、テレビを付けたら流れてきた映像…9.11の時に、まるで映画の世界のようだと思ったのと同じように、3.11の時も、現実なのか信じられなくて、気づけば目から涙が溢れていました…そんな時、アメリカのスタンフォードにいる友人から、メールを受信。東京にいる家族とも未だ連絡が取れない時に、まさかの、海外からの心配の声が届き、とても驚きました。そのメールにとどまらず、数時間後に夜が明けたと思われるヨーロッパからも、ドイツ時代の友人や恩師、知人から次々とメールが送られてきて、多くの人が心配してくれているのだと、心が温かくなったことを今も鮮明に覚えています。 

  そんな仲間たちも、今やパパ・ママになり、子育てをしながら音楽活動をしています。先日、間もなく1歳になるという赤ちゃんの動画が送られてきました。その女の子は、ママのお膝にちょこんと座り、ピアノの前にいます。そして、それが当たり前のように、とても素敵な手のフォームで、鍵盤を押しています。私はびっくり!特別に教えたわけではなさそうです。彼女のママは、ピアニストではないものの、習い事の一環としてピアノをやっていて、音大に進まないか先生から誘われたレベルのようです。ママが、綺麗なフォームで弾いて見せるので、真似をしたらそうなったのでしょうね!更には、彼女は生後7か月にして、ピアニストの伯母さんが演奏しているのをじっと静かに見て聴いていたそうで、環境が大いに影響しているのだろうと思いました。パパがヴァイオリニストの子は、間もなく2歳になるという頃に、私のメイク道具を拝借して横でメイクの真似事をしていたかと思えば、突然、おもちゃのヴァイオリンを、プロ並みの格好良さで構えて弾いて見せてくれました。彼女の場合は、私が膝に乗せてピアノの前に座った時、一本指で鍵盤を押していました。ママはチェリストですし、弦楽器を演奏する姿を見ることのほうが自然なのでしょう。 

  小さい子が、一本指で鍵盤を押している姿は、これまでにもよく目にしていましたが、鍵盤ハーモニカを弾く際に「2本指(じゃんけんでいう「チョキ」)で、鍵盤の上を歩きましょう」と教える幼稚園(保育園?)があるそうで、初めてそういう指導を受けた子供に遭遇した時は衝撃でした。

 生まれて間もない子供たちは、すべてが知らないことであり、すべてが新しい。最初に教わった事が正しいと思って当然で、それを否定しなければならない時は悲しくなります。(もちろん、否定語は使わないように考えに考えて正しますが…)。小さな子どもたちは、大人の真似をして色々なことを学んでいきます。また、上手に真似ができることで成長していきます。ピアノに関しては、いかに、最初に「姿勢」「手のフォーム」「脱力の仕方」「打鍵の仕方」「良い音を聴き分ける耳」が、正しく身につけられるか。癖がついてから直すのは、直す方も、直される方も大変です… 

 「学ぶ環境」は大切です。今からピアノを習おう、習わせようと思われている方はもちろん、練習方法に行き詰まっている方や、もっと上手になりたいと思われている方、是非ご一緒にレベルアップしませんか? 

裕子ピアノ教室フロイデ/豊橋市のピアノ教室

ピアニスト幸田裕子が主宰する、愛知県豊橋市にあるピアノ教室です。 ドイツで研鑽を積んだプロによる、本格的なレッスンをご体験いただけます。 ”上手になりたい方”なら、どなたでも大歓迎♪ピアノを通して豊かな感性を育み、音楽を奏でる喜びを味わってみませんか?