作曲家と作品に敬意を払う

 今年2020年は、クラシック音楽界では、ベートーヴェン生誕250周年という記念の年。本来ならば、生誕の地、ドイツ・ボンをはじめ、世界各地で彼の作品が演奏され、聴く機会も多くあったはずなのに、このような状況になるとは、いったい誰が想像していたでしょうか…

 

 ベートーヴェンに限らず、日常生活に於いて、CMやレストラン、インテリアショップなど、意外にもクラシック音楽を耳にする機会は多くあります。偉人たちの作品をジャズ風に編曲したり、演奏形態を変えたり、それに伴い移調されているものなど…、原曲がクラシック音楽とは思えない曲調のものが流れていたりもします。

 原曲を知った上で、「自分の楽器でも演奏してみたい!」とか、「ジャズやブルース風にしてみたら、どの様にイメージが変わるだろう?」と編曲するのは素敵なこと。しかし、「弾きにくいから」と、重音の箇所を単音で奏したり、配置を変えたり、「長いから」と勝手にカットしたり、「調号が多いのは難しい」と勝手に調性を変えることは、いくら著作権の切れた作曲家の作品だとしても、私には受け入れがたいです。何故なら、作曲家たちは、その時考えうる最高の旋律を、最高の響きを、そして彼らのメッセージを楽譜にしたためているのだから・・・だからこそ、演奏する際には、作曲家とその作品に最大限の敬意を払いたいものです。

 私は、自身の演奏は勿論のこと、生徒のレッスンの際に、「ノーミスな演奏を求めているのではなく、作曲家に敬意を表して譜読みをしてほしい」ということを、年齢に応じて、例を挙げて話しています。幼児でも、理解して、一生懸命に作品と向き合ってくれるときには、本当に嬉しく思います。幼稚園児だった頃に、園で先生が弾いてくれたモーツァルトのトルコ行進曲が素敵で、その曲に憧れてピアノを習いたいと願ったという小学生は、完全な形で演奏したいからと、彼自ら、もう2年も取り組むことを保留にしています。作品を大切に思って、その時を待ち望んでいる彼の演奏は、きっと素敵だろうな♪

裕子ピアノ教室フロイデ/豊橋市のピアノ教室

ピアニスト幸田裕子が主宰する、愛知県豊橋市にあるピアノ教室です。 ドイツで研鑽を積んだプロによる、本格的なレッスンをご体験いただけます。 ”上手になりたい方”なら、どなたでも大歓迎♪ピアノを通して豊かな感性を育み、音楽を奏でる喜びを味わってみませんか?